top of page
危機は社会的弱者ばかりに牙をむく 

 

新型コロナの流行は、これまでの私たちの生活をまちがいなく変えた。失ったものも

あれば、新たに手に入れたものもある。これまで、パンデミックが与えた影響につい

て、授業や日常生活の中でいろいろ考えてきた。その中でも特に私が忘れたくないこと

は、「危機は社会的弱者ばかりに牙をむく」ということだ。  
 コロナの流行は、社会の構図を映し出し、社会的弱者を浮き彫りにしたと思う。ある

程度地位があって、経済的に余裕のある人は、経済活動が制限されて自粛を求められても、衣食住に困窮することはないし、新たな趣味さえも発掘できる。一方、授業で取扱ったような、アンダークラス⁽¹⁾の人々は、職を失い、充分な食料も得られず、毎日ギリギリの生活を送っていた人もいる。ピンチになった時、いつだって切り捨てられるのは「弱い」人々。本当は彼らを1番に救わなければならないのに、私たちは切り捨てられるのを恐れて、あまり干渉しない。  
 確かに、声をあげるのも大事だけど、それ以上に彼らのために何か行動を起こせた人が果たしてどれだけいるか。悔しいが、自分はなにも出来なかった。ただ報道を見ているだけで、話を聞いているだけで、何もしてあげられなかった。自分には、「途上国で子供たちのために活動したい」という夢がずっとあった。しかし、自分の周りで起きていることすら、何にも解決できなかった気がする。こんな自分が夢を叶えられるのか、すごい考えた。大学生という、お金も影響力もない私だけど、そんな私でも何かできることはあったんじゃないか、と後悔が残る。  
 これから生きていく中で、パンデミックや震災、差別など、様々な危機に直面すると思う。そんな時、なにか少しでも、社会を変えられるような取り組みをしたい。そのために、この悔しい気持ちは忘れたくない。  
 小さなことの積み重ねで、社会は少しずつ変えることができると思う。今からなにができるか。家の近所にある子ども食堂の活動に参加してみる。シングルマザーやホームレスの方々への支援を展開している団体の活動に参加してみる。見たこと感じたことを発信していく。選挙に行って、社会を良くするために1票を投じる。  
 私は、会社の社長になって彼らに仕事を与えたり、議員になって給付金を増やしたり、法や制度を整える、という道は考えていないけど、私なりのやり方を模索しながら社会を良い方向に変えていきたい。危機が誰かを蹴落とすのではなくて、みんなをさらに団結させるような、そんな世の中になってほしい。SDGsの目指す「誰ひとり取り残さない世界」の実現を、ただ願うだけじゃなくて、行動していきたい。

 

(注1)収入や財産の少ない、生活水準の低い階層。主に、非正規労働者のうち、家計を補助するために働くパート主婦、非常勤の役員や管理職などを除いた人たちを指す。

現社 危機は社会的弱者ばかりに牙をむく.jpg
bottom of page